先日、「渋い」という“感覚”を生まれて初めて味わいました。
柿をたくさんいただいたので、なにかお菓子でもつくろうかと皮を剥いていた時のこと。
ひと際大きく、鮮やかな夕焼け色をしたひとつをおもわずパクリとしたところ、やわらかな甘みが口に広がり鼻に抜け、なんとも幸せな気分…になったのも束の間、ぎゅうっと口内をつねられるような、舌を刺すような、急激に水分をもっていかれる感覚。
一瞬何が起こったのかわからず静かに焦っていましたが、しばらくして、
「…あ、これがあの、“渋い”という感覚か…!」
と気づき、妙に感動しました。
思い返してみれば、小さい頃から身近にあったにもかかわらずあまり食べ慣れていなかった果物でした。
イメージとして、なんとなく「昭和の果物」という感じ。ALWAYSくらいの時代の子供がドロボウして怒られているアレ。「フルーツ」というよりは「果物」と呼ぶ方がしっくりきます。
おばあちゃんが干し柿を作っていたこともありましたが、あれも口にした記憶がありません。
そんな馴染みの薄いものでしたが、焼酎に漬けて渋みをとるという知恵を教えてもらえたり、人が渋柿を食べたときの渋い顔が見られたり(自分だけ渋がっているのが悔しかったので、何も伝えず他スタッフにも食べてもらいました)、何より“渋い”という感覚を人生初体験できたのがとても良かったです。
これでまたひとつ、人と共有できることが増えました。
大きいことも小さいことも、まだまだ知らないことがたくさんあるなぁと思って、すこし嬉しくなったできごとでした。
季物を食べると、縁起が良いとか長生きできるとか。
渋くない柿たちでプリンをつくりましたので、良かったら。
Comments